この頃では、子ども向けに地政学を解説した本も出ている。
40年前の私の学生時代と比べると、隔世の感がある。
当時、20歳の大学生だった私は、角川文庫から出ていた倉前盛通先生の「悪の論理」という本にハマって、地政学なるものを知った。 周りの人は誰もそんな言葉すら知らなかった時代である。 ちなみに同学年の、政治学を専攻していた知人に聞いてみたら、教授からは、近頃になってなぜ地政学なんて時代遅れの古臭いものが流行りだしたかがわからん、と言われたそうである。 しかしながら、それから10年20年経つと、マハンやマッキンダー、ハウスホーファーなどの著書を少しずつ見かけるようになった。

今では、世界を知るための教養の一つになっているくらいである。 何だか怪しげで胡散臭い、人種主義の偏見や血腥い記述に満ちた学問のように捉えられていた時代が嘘みたいに思える。